
岩永竜一郎×ニキ・リンコ×藤家寛子 著
税込1,680円(本体1,600円)
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続々 自閉っ子、こういう風にできてます!
岩永竜一郎×ニキ・リンコ×藤家寛子 著
――はじめに――
自分のナゾを解き、工夫を重ねる――自立への近道
花風社 浅見淳子
ニキさん、藤家さんが感覚統合検査を受けたのは、本書出版より三年近く前のことになります。検査後すぐに岩永先生から、結果が送られてきました。「ニキさん、藤家さんともに感覚統合障害をお持ちです。ただしお二人には違いがあります。藤家さんには感覚調整障害が、ニキさんには運動行為機能障害が強く見られます」。
……「何、それ?」「わけわかんない」「先生日本語でしゃべってほしいよね」
ニキさん、藤家さん、浅見の三人は実をいうと当初、感覚統合検査のありがたさがよくわかっていませんでした。
けれどもそれ以来、私たちは何かと岩永先生の地元、長崎にご縁がありました。講演会や学会等に招聘していただき、そのたびに岩永先生とお話しする機会がもてました。
「先生、ニキさんと藤家さんは、子どものとき『だるまさんがころんだ』が難しかったそうですよ」
「そらそうでしょうね。検査の結果を見ればお二人にとって『だるまさんがころんだ』が難しいのはよくわかります」
「先生、ニキさんは全自動洗濯機で乾燥まで済ませたり、食器洗い機を使ったりという家事の軽減措置にわりとこだわるんですよ」
「そらそうでしょうね。そういう手段を使わないとニキさんが社会人生活を送るのは大変だと思います」
岩永先生はなんでも「そらそうでしょうね」と答えるのでした。
そのうち、私たちにもわかってきました。感覚統合検査とは、生活上、どこで苦労しがちかを映し出し、どこでどういう工夫をすれば教えてくれるものだったのだと。だから岩永先生には、二人がどこで苦労するかわかっているのだと。
自閉症スペクトラムの方には、残念ながら、トレーニングを経ても直せない不便な特性があります。それでも、大丈夫。自分の特性をつかみ、環境を整えることで、自立生活への近道が開けてくるのです。でもそれには、持って生まれた特性というナゾを解かなければなりません。ナゾ解きの上手な人は社会人としてやっていけますし、ナゾ解きに苦労していれば(そしてそもそもナゾ解きの必要性に気づいていなければ)自立は遠くなります。
ニキさんはどうでしょう? 実はニキさん、検査を受ける前から自分なりに様々な生活上の工夫を積み重ね、えっちらおっちらと社会人生活をこなしていたのでした。
それは時に私たち定型発達者には「なんでそこまでこだわる?」「へんなの!」と思える工夫だったりもしました。でも、「そんなのへん」というツッコミを控えるだけで支援になることが、検査と岩永先生の説明を経てよくわかりました。私たちにとってはヘンでも、自閉症の方本人には大切な工夫だとわかったからです。
生まれ持った特性のゆえにどうしても乗り越えられない壁を、環境づくりによってどう乗り越えていくか。そのために感覚統合分野の専門知識をどう生活に適用していくか。
感覚・運動にさほど不具合のない自閉症スペクトラムの人に、なお残る壁とは何か。
そして、環境づくりには福祉・医療の外との連携も必要ではないか。
福祉以外の産業とどう連携するか。福祉・医療以外の産業も自閉症スペクトラムの方の特性に配慮を始めているといううれしいニュースもこの本には盛り込むことができました。
人間はバラエティに富んでいます。自閉っ子だってバラエティに富んでいます。
だからニキさんのやり方を、マニュアルのように丸暗記する必要はありません。それでも、「ああこうやって自分の特性に気づくんだ」という一つのケーススタディを、ニキさんの生活上の工夫は教えてくれます。
たとえばニキさんは、数年前より発熱する日が減りました。社会人として仕事をしていく上で、熱が出る日が減ったのはとても大切なことでした。
そのコツは、食事時にフォークの使用頻度を増やしたり、一回の食事の量を減らして、一日六食にしたりしたからなんですよ。
わけわからないでしょう? なんでフォークで発熱が減るの? でも、本当なんです。
この本の中にその理由が書いてあります。さあ、ページをめくってみてください!
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