
岩永竜一郎×藤家寛子×ニキ・リンコ 著
税込1,680円(本体1,600円)
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続 自閉っ子、こういう風にできてます!
岩永竜一郎×藤家寛子×ニキ・リンコ 著
――はじめに――
四年間で自閉っ子二人は進化を遂げた!
花風社 浅見淳子
たくさんの方に読んでいただいた(そして今も読みつがれている)『自閉っ子、こういう風にできてます!』の出版から四年。ニキ・リンコさんと藤家寛子さんと私の上には、それぞれ変化がありました。
まず前著出版当時、月の半分発熱していたニキさんは、熱の出る日が驚異的に減り、たくさんの本を書き、(ニキさんにとって)比較的暑くない季節には日本全国に講演旅行をする機会が増えました。
極端な偏食で食べられるものの少なかった藤家さんは、一時は「世界観の切り替え」にたいそう落ち込みましたが、やがて適切な支援を得て、一人暮らしを試せるまでに回復しました。偏食がなくなり、体力がつき、原稿を書きながら職業訓練施設にも通えるようになりました。
私・浅見は、ニキさんと「掛け合い漫才(二人揃っての講演)」で全国各地に呼んでいただくことが増えました。たくさんの福祉や教育分野でご尽力されている方々、そして大人になった自閉っ子たちと知り合いになりました。
大人になった自閉っ子たちの中には、就職して立派に一家を支えている方もいれば、大企業で長年勤続している方もいました。何回か就職したけれども不適応を起こし、その後支援を得て職業訓練の末障害者枠で就職した方もいれば、不登校を続けていたのにいざ就職となると「なんとかなってしまった」方もいました。
不安定就労を余儀なくされている方もいれば、時給ベースで働いているのにきちんと親に仕送りをしている親孝行な人もいました。一方で、残念ですが、就職がかなわない人もたくさんいました。
特例子会社の方や、就労支援に携わっている方にもお会いする機会がありました。やはり企業の方が重視するのは「心身が安定していること」だ、ということがわかりました。それぞれの地域に特色のある支援があり、中には高機能の方の障害者枠での就労を可能にしている自治体もあるとわかってきました。これも、発達障害のことが広く知られるようになったからこそでしょう。
それでも、厳しい現実があります。障害者枠での就労が可能な体制が整っていても、求人のほとんどは「週五日、九時から五時」がスタンダード。大都市圏の場合、これはラッシュに耐える通勤も意味します。
ある程度の体力がないと、いくら行政が高機能の人を障害者枠に入れる工夫を重ねても、就労は遠い。
こういう現実を知って私はますます「自閉圏の人たちが抱えがちな身体の問題を早めに解決することはできないのだろうか?」と考えるようになりました。
「掛け合い漫才ツアー」の一つとして呼んでいただいた長崎の地で、岩永竜一郎先生に出会ったのは、私がずっとそういう疑問を抱き続けていたときでした。
岩永竜一郎先生は、長崎大学医学部の先生で医学博士、作業療法士さんです。アスペルガーの坊ちゃんがいらっしゃる自閉っ子パパでもあります。発達障害の方の抱える感覚・運動の面での研究にあたり、実践に活かしていらっしゃいます。作業療法士の職域を越えて、地域の自閉っ子、大人になった自閉っ子の支援にあたっています。そしてもちろん父親としても、早くから息子さんの身体づくりに工夫をしています。
自閉っ子の身体の問題に詳しい方を見つけた!
この方に助けていただき、自閉っ子の特性をもっと探れないだろうか?
そして、自閉っ子が「働く大人」になるには絶対に必要な「身体づくり」、「環境づくり」の提言ができないだろうか?
『続自閉っ子、こういう風にできてます!』『続々自閉っ子、こういう風にできてます!』の構想は、こういう中から生まれました。
まずはニキさんと藤家さんに、「感覚統合検査」を受けてもらえる? と頼んでみました。ふだんから自分の特性を知ることに熱心なお二人は、快諾してくれました。検査結果は、前著でお二人の訴えていた「気まぐれな身体感覚」がどこから来るのか、裏付けることになりました。結果を知ったニキさんは言いました。「専門家のみなさん、そういう大事なことは早く言ってください」
さて、この検査結果を、どう活かしましょう?
お二人にそう問いかけると藤家さんは、二十代の今からでも「身体づくり」にチャレンジしたい! と言ってくれました。最近、目に見えて体力がついたのも励みになっていたのでしょう。そこでまず、本書の中では藤家さんが、体力づくりや感覚過敏への対応、心身の状態を安定させる方法、社会人生活に必要な休憩の取り方などを、岩永先生にアドバイスしていただくことにしました。それだけではありません。本書の読者には自閉っ子の親御さんや先生方も多いでしょうから、「子どものころから取り組めること」にもたくさん提言をいただきました。
そしてニキさんには、『続々自閉っ子、こういう風にできてます!』の中で、「気まぐれな身体感覚と社会人生活を両立させる環境づくりの方法」を岩永先生と話し合っていただくことにしました。すでにニキさんが行っている様々な日常生活での工夫も、検査結果と照らし合わせてみると、実に理にかなっていることがわかりました。また『続々自閉っ子、こういう風にできてます!』の中では、比較的身体感覚の症状が軽い人の生活も取り上げていきます。自閉圏の方が働き、衣食住をきちんと管理するには、定型発達の人と違ったどんな工夫が必要なのか。そこに光を当てていきます。
私たちの願いは、一人でも多くの自閉っ子が、健康な心身を手に入れることです。そして、仕事に余暇に、充実した人生が送れるようになることです。
このシリーズが少しでもそれに寄与できれば幸いに存じます。
二○○八年 実りの秋を迎えて
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