この本には、十年目を迎えた私と自閉症とのかかわりのほとんどすべてを書きました。
まったく自閉症に縁のなかった私が自閉症の人たちと一緒に仕事をすることになり当事者・支援者・保護者の方たちとたくさんの出会いがありました。
理解が難しく個別性の強い自閉症という障害を一般の社会人である私がどうやって理解しようとしてきたか。
そして、「異文化としての自閉症」をどうやって世の中に伝えようとしてきたか。
そして、どこに限界を感じたか。
そして、それでも十年の間に自閉症支援はいかに進んだか。
周囲の自閉症の人たちが、どれほど可能性を花開かせていったか。
それをきちんと記録しておこうと思いました。
これから自閉症の人の就労が進むと私と同じように思いもかけず自閉症の世界とかかわることになる一般の人が増えると思います。
だから、書き残しておこうと思いました。
自閉症の人たちの未来のために。
自閉症の人たちを支援する人たちのために。
自閉症の人たちと未来を共にする一般社会の人たちのために。
この十年、充実した仕事の場を私に与えてくれた自閉症の世界。
少しでも恩返しができるといいと思っています。
そして恩返しにしたいからこそ
「ほとんどすべて」を書きました。