中田大地 著
税込1,680円(本体1,600円)

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僕たちは 発達しているよ


中田大地 著

   ――あとがき――

 本になるのは二冊目です。一年生でおひさまに行ったころ、本が出た二年生のクリスマスのころ、二冊目の本が出る今。僕は少し大きくなりました。大きくなって出来るようになったことと、修行で出来るようになったこととがあります。ずいぶん変わったと自分でも思います。でも、あんまり変わっていない気がします。変わったところと、あんまり変わらないところがあるからだと思います。栗林先生が言うように「人間は死ぬまで修行」が本当だったら、『ぼく、アスペルガーかもしれない。』を最初に買って読んでくれた人もきっと、成長して発達したんだと思います。

 それは、大人も子どもも同じだと思います。日本のあちこちで、方言とかでママやパパとケンカしながら僕の本を読んだり、同じように特別支援学級で修行している人がいると思うと面白い感じがします。

 僕の所にはたくさんのメールが届きました。それから、障害があったり、病気があっても、大人になるために頑張っている人がいるのは自分だけじゃない気がして嬉しい感じがしました。

 本にしたことで嫌な思いをしました。でも、いいこともたくさんありました。実は一冊目の本と二冊目の本が出る間にはいろんなことがありました。診断がついたり、たくさんの自閉症の先輩とお友だちになったり、自閉症の博士とも知り合いになりました。それはとても僕にとっては良いことでした。

 残念だったのは、光君を書いていた戸部先生が天国に行ったことです。光君と一緒に大人になれたらいいなあ〜と思っていたので、とてもさみしい気持ちになりました。

 光君は自閉症でした。僕とは違うタイプのようです。でも、似ているところがたくさんありました。光君と同じトレーニングもしていました。先生や幸子お母さんが光君にする工夫は僕もしてもらっています。僕は光君からいろんなことを教えてもらいました。光君が頑張っていたから、自立登校を頑張ることにしました。お泊りや乗馬もそうです。イヤマフも光君のおかげで使う勇気が出来ました。

 もう光君の続きはないです。光君の分まで、頑張って働く大人になれたらいいです。本当にさみしい気持ちです。でも、光君の代わりにいろいろ話を教えてくれる人たちが出来たのでよかったです。特に、藤家のお姉ちゃんやたかびごんさんは謎だったことをいろいろ教えてくれました。それから、うまくいかなくても結構仕事ができることがわかりました。会社に行ったり作業所に行きながら、野球を見に行ったりしていました。お友だちとお出かけしたり、デートもしていました。

 僕は東京タワーに行く時に、藤家のお姉ちゃんと会う約束をしています。一緒にキャラメルマキアートを飲みたいです。わかったことは、自閉症でも普通の人間だな〜ということです。

 僕は立派な大人にはなれないと思います。でも、普通の人間の大人ならなれそうに思います。出来れば、みんなが喜ぶような仕事が出来たらいいです。一生懸命に生きる人間になりたいです。

 世界には自閉症だけじゃなくて病気や障害がある子どもがたくさんいると思います。僕は栗林先生に教えてもらいました。みんなも人間の大人になれるそうです。自分次第で幸せな人生になるそうです。

 みんなのそばにそういうことを教えてくれる人がいれば、子どもはみんな幸せになれると思います。大人になる前から「不可能だと思われる」とか「困難だと思われる」なんて言わないでほしいです。そんなんじゃ夢はなくなってしまいます。誰だってやる前から無理だと言われたら悲しい気持ちになります。

 僕は「君がこの世に生まれてきたのは意味があることなんだよ」と言われてすごく嬉しかったです。「君と出会えたことは宝物だよ」も嬉しかったです。でも一番嬉しい気持ちになったのは、もう駄目だ。こんな世の中は嫌だ。自分は本当にダメなやつだ。きっとどこかおかしいんだ。と、思っていた時に「どこもおかしいところはないよ。苦手なところと得意なところがあるだけ。それはみんな同じだよ」と、教えてくれたことです。それから、「これからどんどん変われる。子どもの可能性は無限だよ。大地は謎の男だ!」と言われたことです。それから「どんな大人になるのか楽しみです」も嬉しいことでした。だから僕は頑張ろうと思いました。頑張っている人が自分だけじゃなくて嬉しいです。

 これからも僕はこういうことを忘れて、嫌になったり落ち込んだりするかもしれません。どんなに頑張っても出来ないことがあるかもしれません。でも、出来ないことを自閉症のせいにしたり、頑張る前からどうせ無理だと決めつけるのはやめようと思っています。

 僕の本はこれで終わりかもしれないし、まだ続くかもしれないし…それは僕にもわかりません。でも、死ぬまでいろいろ書こうと思います。僕は間違っていたら困るので、いろんな人に読んでもらって、これからもいろいろ教えてもらおうと思います。本にするかどうかは読んだ人が決めればいいと思います。

 「革命」は簡単には起きないみたいです。おひさまに行っても、本になっても、診断がついても、あんまり変わったことはありませんでした。でも、こういうことは本当はどうでもいいことに思います。自分次第なんだと思いました。それから、自閉症の博士に会っても、やっぱり革命は起きませんでした。

 博士や医者は診断して、これがいいとかあれがいいとか言います。でも、「生きる」ことを教えてもらうには、一緒に生きている時間が多い人の方がいい感じです。

 僕は特に色々言われてもよくわかりません。だったら一緒にやってよという気分です。だから、そばにいる人が一番のような気がします。

 パパやママ、先生たちは博士ではありません。

 博士でなくても、僕は頼りになるみんなだと思います。

 めったに会えない博士より、いつもそばにいる人の方がいいと思います。


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