
藤家寛子×浅見淳子 著
税込1,470円(本体1,400円)
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自閉っ子 心身安定生活!
藤家寛子×浅見淳子 著
――まえがき――
花風社 浅見淳子
藤家寛子さん(愛称・ちゅん平さん)とのおつきあいは、もう六年になります。早いものです。
花風社に原稿を持ち込み、出版が決まり、何度か上京してくれました。二人でプロモーションで方々に行くうちに、「なんて弱い人だろう」と思うようになったのを、昨日のことのように思い出します。とにかく私の人生では初めて出会ったくらい弱い人でした。
どこが?
身体と、そして心がです。
まず、食事がほとんど食べられない。偏食の上に少食で、その結果としてスタミナがありません。それに加えて過敏性を抱え、街を歩いても音や匂いに圧倒されてしまいます。こういう身体条件を抱えているのですから、当然世の中は怖いものだらけ。人が来るとパッと飛び立つスズメになぞらえて、自ら「ちゅん平」と名乗るのも理解できます。
感覚だけではなく、運動の能力にも問題を抱えていたのか、自分で「右、左、右、左」と脳内号令をかけなければ、歩行ですら困難です。その結果ぐったり疲れて、精神的にもうつになりやすく、落ち込むのを避けるには、睡眠も長く取る必要がありました。
社会人に向かないな、と思ったものです。
ところがちゅん平さん、がんばりやなのです。
外に出るだけで疲れるし、苦手な季節も多いのに、社会とのつながりを求めていたのです。自分で模索し、努力していたのです。
その手がかりとして都会暮らしを試みました。数回の上京を経て様子がわかったのか、自分でアパートを探し、意気揚々と上京しました。
けれどもこれは失敗に終わりました。
生活管理(とくに食事の管理)ができないことから、体調を大きく崩し、結果として心も崩れて、迎えに来たご両親に連れられ、故郷に帰りました。その後しばらくして会いに行って見ると、体重は三十キロ台まで落ち、生きているのがやっとという状態でした。
その間にも私は、障害者枠での就労状況の取材を続けていました。
発達障害の人も障害者枠で就職できる道が整いつつある中で、よい成果を上げている人もいましたが、企業の求める条件は「心身が安定していること」「週に五日勤務できること」。ちゅん平さんのような人は最初からはじかれているのかしら、と思ったものです。
ところが現在、そのちゅん平さんが「自ら求めて」週に五日の勤務に挑戦しています。
パニック障害・うつ・引きこもり・虚弱体質を乗り越えて。苦手な季節もきちんと体調管理をし、週に五日外に出ています。
ずっと姉のような気持ちでちゅん平さんを見守ってきた私にしてみると、これは奇跡です。こんな日が来るなんて、夢のようです。何がこれを可能にしたのでしょうか?
実を言うと「何がこれを可能にしたのか」は、私の予想と違っていました。皆さんの予想とも、もしかしたら違っているかもしれません。
引きこもっている方、二次障害で苦しんで、もう一生このままだと思っているかもしれないという人を身内に持っている方々、まだまだ希望はあります。不登校していたって、社会人にはなれます。でもそのためには応援する私たちが、当事者の回復体験から学ぶ必要があります。
それぞれの立場で何ができるか、一緒に学ぶためにこの本を作りました。さあどうぞ、ページをめくってみてください!
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